ウィンドブレーカーの定義
ウィンドブレーカーとは、きめ細かな生地素材を用いることで防風機能を高めた上着を広く指す言葉です。
肌寒いとき、さりげなくはおるウィンドブレーカー。朝夕は寒いからウィンドブレーカーがあるとよい、とか、風が強そうだからウィンドブレーカーを持っていると助かる、といったことを耳にします。
しかしそのとき、はおるものを総称してウィンドブレーカーと言っていることはありませんか?
このウィンドブレーカーとは一体何物なのか、由来は?
ウィンドブレーカーとは何か、ウィンドブレーカーの定義について解説していきます。
ウィンドブレーカーとは
ウィンドブレーカーは、アメリカ英語で「Windbreaker」と書きます。
一般的に綿やナイロン、ポリエステルを素材としたアウターのことをいいますが、どういった定義があるか知らずに使っていることが多いようです。
それでは、アメリカで生まれたウィンドブレーカーは、何を語源にしているのでしょう。
ウィンドブレーカーは商標名
「ウィンド」「ブレーカー」だから、そのまま「風」「除け」という目的の意味を「キーワード」にしたアウターということです。
その語源は、アメリカの「John Rissman company」という会社がつけた商標名になります。
John Rissman companyが防風に特化した、ギャバジン生地のジャケットにつけた商標名が、そのまま私たちが何気なく使っているウィンドブレーカーになりました。
ウィンドブレーカーのデザイン
ウィンドブレーカーはジッパーで前を開けるタイプのジャケットです。冷たい風を防ぐ「防風」と動きやすさを目的としたアウターです。
丈は腰よりも下、ヒップラインの位置までが多く、長袖で袖口にゴムや紐などがついています。
ウィンドブレーカーのデザインの定義
ウィンドブレーカーは、袖や裾にゴムや紐が付いているものが多く、開口部から風が入らないようになっているのが特徴です。
薄手で軽い生地を使っていますが、着用したときに冷たい風が衣服内部に入らない、皮膚表面に受けないためのデザインや工夫がされているということです。
私たちの皮膚表面の温度は32度前後に保つと快適に感じます。
しかし、気温がそれよりも5度以上下がると、寒さを感じてしまいます。そのため衣服によって、皮膚と衣服の間に空気の層を作り皮膚の表面温度を保つようにしています。これを衣服内気候と言います。
ウィンドブレーカーは、防風機能を高めることで快適な衣服内気候を実現しています。
冷たい風を通さず、袖口や裾などの開口部から冷たい空気を入れないウィンドブレーカーは、薄手でも快適に感じる工夫がされた、製品デザインに優れたアウターといえるでしょう。
ウィンドブレーカーのおしゃれなデザイン
ウィンドブレーカーはカラーも豊富で、メーカーのロゴや学校・チームのロゴ入りのものがたくさん作られています。
袖やエリのカラーを変えるものもあり、おしゃれなデザインのものを見かけることもあるでしょう。
なかにはそろいのウィンドパンツがあり、上下一組で利用する人も少なくありません。スポーツや作業着から普段使いまで、幅広いシーンで着用することができます。
ステキなカラーやデザイン性の高いウィンドブレーカーは、風の中でもアウトドアを楽しむための、おしゃれアイテムです。
やっけとは?ウィンドブレーカーに似たヤッケとの違い
ウィンドブレーカーと同じようなデザインのアウターに「ヤッケ」というものもあります。
ウィンドブレーカーは風除けを目的に作られていますが、ヤッケも同じような機能を持って作られたアウターです。
ヤッケはウィンドブレーカーに似た言葉、ウィンドジャケットの「ジャケット」をドイツ語読みにした「ヤッケ」のことです。
ヤッケはウィンドブレーカーと同じように風除けを目的としたアウターで、素材もナイロンやポリエステルを利用した、フード付きのウィンドブレーカーのことになります。
さらにヤッケにはダウンジャケットのようなものもあり、防風防寒にも優れ、防水性の高いジャケットを意味することもあるようです。
ウィンドブレーカーは、ヤッケほど防寒に強いアウターではありません。
また、ウィンドブレーカーはフードが付いたデザインも、つかないデザインもありますので、ヤッケとは少し違う意味のアウターを表すようです。
トレーニングクロスやジャージとの違い
似たようなデザインのアウターに、トレーニングクロス、クロスジャージと呼ばれるものがありますが、こちらはスポーツ目的で作られたアウターになります。
トレーニングクロスやクロスジャージは、スポーツをする人が利用するため、防寒や撥水のほかに汗をかいたときに役立つ、高い吸汗速乾機能が付いているのが特徴です。
一方、ウィンドブレーカーは防寒に特化し、着用したときに風を防ぐことが一番の目的です。
さらに多少の水は中に取り入れないための撥水加工機能がされていますが、トレーニングクロスのように吸汗速乾の機能付きのものは、あまり見ることはありません。
ウィンドブレーカーの機能
ウィンドブレーカーの一番大切な機能は、冷たい風を通さず寒さを感じさせない防寒を目的としていることです。手軽に持ち運びできるのもウィンドブレーカーの特徴です。
携帯できて風除けにもなる、機能性の高いアウターのため、夏場の山歩きやハイキングなどの際、外気温との調節のために持ち運ぶ人もいます。
ウィンドブレーカーの生地
John Rissman companyが初めて製造販売したウィンドブレーカーに使ったのは、ギャバジンという生地でした。
ギャバジンは、繊維素材のことではなく、繊維を反物に仕上げるときの織り方のことです。ギャバジンは綾織りのしっかりした生地で、毛を使うと学生服や背広のような厚手でしっかりとしたものにもなります。
ウィンドブレーカーは、ナイロンやポリエステル繊維をギャバジン(綾)織りにすることで、薄手でも風を通さない強い生地に仕上げたものです。
ウィンドブレーカーの目的
ウィンドブレーカーは、軽くてかさばらず、防風、防寒を目的とした衣服です。必要以上の寒さを防ぐ必要はないため、薄手の生地を使っています。
本格的な寒さに対する防寒を目的としていないため、起毛の裏地などがついているものは少ないようです。
風のほかに、小雨などちょっとした水をはじく効果があるものもあり、防雨効果のあるウィンドブレーカーの場合は吸水性のよい綿ではなく、撥水性の高いナイロンやポリエステル生地を利用しています。
ウィンドブレーカーのいろいろな種類
ウィンドブレーカーデザインの定義に前開きとありましたが、種類によっては前開きではないものもあるようです。
そこで、ウィンドブレーカーのさまざまな種類と応用について解説していきます。
アノラック
ウィンドブレーカーとヤッケの違いに、フードの違いがありました。アノラックはフード付きウィンドブレーカーを意味します。ヤッケはフード付きのジャケットを意味します。
アノラックにはヤッケと同じ意味を表すこともあり、薄手のアノラックはウィンドブレーカー、ヤッケのように中綿やダウンが入る防寒機能が高い厚手のものをアノラックと区別することもあります。
ピステ
ウィンドブレーカーの中で、前開きではなく頭から被るタイプをピステと言います。頭から着用するのだから「プルオーバー」というのではないか、と思う人もいることでしょう。
プルオーバーは、衣類の機能というより衣服の形を意味する言葉になります。前開きのものをカーデガン、上から被って着用するものをプルオーバーと言います。
そこでウィンドブレーカーの中でも、プルオーバータイプのものをピステといいます。
ウィンドアップ
軽くて薄いアウターをウィンドブレーカーといいますが、新しい素材や衣服の開発によって、断熱性が高い素材を使ったものも増えています。
ただ防風効果があるだけでなく、山登りなど防寒を必要とするシーンでも、薄手で持ち運びやすいウィンドブレーカーをウィンドアップと呼びます。
このように、ウィンドブレーカーにもたくさんの種類があり、それぞれのシーンに合わせた使い方ができるようになっています。
まとめ
ウィンドブレーカーが作られたばかりのころは、薄くて風を通さない衣類をウィンドブレーカーと呼んでいました。
しかし、新しい素材が作られるようになって、薄くても風も熱も通さないウィンドブレーカーも登場しています。
そのなかで「ウィンドブレーカー」の一貫した定義は何かと問われれば、薄手で軽く防風機能が高いウェアといえます。
ウィンドブレーカーは、冷たい風の中でも快適にアウトドアを楽しむことができます。普段使いや登山、ハイキング、スポーツと、色々なシーンで着用してみてください。